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国道16号線−典型的な日本の郊外として知られるこの道路の沿線は、80年代後半から、社会を震撼させる事件が頻発し続ける、犯罪多発地域でもある。その理由は何か、国道16号とはどのような道路なのか。ネット心中や若者のメンタリティを数多く取材するルポライターが、豊富なフィールドワークで沿線住民の心象風景や消費行動をもとに、その実態を明らかにする。
1本の道路から、日本社会が抱える闇が見えてくる−−。
(配信 情報センター出版局)
千葉市・幼妻殺人事件−3
○ 殺意をかりたてたもの

 広宣はかつてより、車を盗難しては乗り回していた。当時セルシオを乗っていたが、やはり盗難車であった。執行猶予中の広宣にとってはリスクがあった。そのために、新たな車が欲しかったのだ。
 しかし、それまでにクレジットカードの借金は600〜700万円ほどになっていた。そこで、新たに借金をするために、「婚姻」をし、新たな「姓」になることを考えて、Eに提案。Eは拒否したため、裕子に話をふった。裕子は報酬金10万円という約束で快諾した。
 しかし、車のローンも、クレジットカードの借金を返済できないでいた。報酬金も10万円のはずが、実際は7万円だけだったという。そんな中で生活は苦しくなる一方で、覚せい剤を購入する。さらに、Eとの間に子どもができるなど、問題が山積みになっていく。そんなときだった。
 「籍を抜きたい」
 裕子がそう言ってきたのだ。裕子の妹が携帯電話を買うことになり、住民票をとる必要性がでてきたのだ。偽装結婚がバレてしまうと裕子は思ったのだ(実際には離婚しても、婚姻関係にあったことは書類上は分かってしまうだろうが)。
「だったら、7万円返せよ」
 広宣はそう主張し、二人の関係は泥沼に入っていき、もはや、誰にも止められない方向へと進んで行く。

 「被告人は、被害者が警察に通報すれば、執行猶予が取り消され、服役しなければならなくなるかもしれないと危惧し、同月中旬ないし同月下旬(注、「同月」は9月のこと)、口封じのために被害者を殺害しようと決意した」(判決文より)

 事件当日、裕子さんが「ピュアローズ」を出たのが閉店後の午前2時20分ごろ。裕子と店のママが、迎えにした広宣のマーク2に乗り込んだ。ママを近くの自宅前で降ろして、二人きりになった。
 同じ頃、共犯者の4人は日産セドリックに同乗し、R16のエアポケットである貝塚墓地に向かい、待ち伏せしていた。
 貝塚墓地に2人が着くと、裕子さんにトランクをあけさせ、そのスキに、背後から4人に襲わせたのだ。そこで、裕子さんの命は途絶えることになった。
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被害者が働いていたプチキャバ。至近には小学校がある。
# by webmag-a | 2007-02-15 23:19